M&Aコラム第13回・第二部M&A実務応用編を掲載しました!!。
(次回、第14回のM&Aコラムは2019年3月1日掲載予定です!!また次回もお楽しみに!!)

第十三回M&Aコラム M&Aコラム応用編【M&Aの疑問にお答えします❗】
《その8⃣ 売り手企業売却の注意点、落とし穴は?》
前回に引き続き《売り手企業売却の注意点、落とし穴は?》をお話します。中小企業の売り手サイドの(事業承継含む)M&Aの注意点についてお話していこうと思います。 今回は<M&Aにおける人材流失問題を考える>です。 M&Aの条件を考えると『人材』は最も不確定要素の高い経営資源です。 M&Aしても当該会社の従業員が必ずついてくる保証はどこにもありません。現在、優秀な人材の確保にどの企業も四苦八苦しておりM&Aを契機に従業員が辞めてしまうスクが少なからずあって.売り手が様々な手を打ち配慮をするとしてもこのリスクを完全にゼロにすることはできません。人材流出のリスクが大きすぎると考えるのであれば買い手はM&Aを断念 します 。
人材が流出問題には、実はもうひとつ別の側面が隠れています。それは会社の経営資源でも現代ではもっとも重要な経営資源ともいえるもの、そう【情報】です。つまり、いくら情報が優れていても、それを活用できる『人』がいてはじめて真価を発揮できるということが大事なM&Aのポイントであるということです。例えば、下記にサービス業に関して、重要【情報】を簡単にまとめてみました。
1.顧客情報
2.顧客の分析情報(年齢 性別、地域 収入など)
3.売れ筋商品の分析情報 (POSデータ分析)
4.顧客の購入機会や購入動機の分析データ
5.エリアマーケット情報
6.広告宜伝効果の分析資料
7.企業やサービスに対する認知度
8.HPのデザインやリ ンク数、アクセス頻度
9. 商品や企業のブランドやイメージ
10. セールスマニュアル等各種マニュアル類
11. 人材育成ノウハウ
上記の【情報】は必ず『人』にひもづき、いくら情報が優れていても、それを活用できる『人』がいてはじめて真価を発揮できるという視点です。
こういった重要な人材流失問題を、 M&Aのやり方で工夫する方法として、M&A交渉当事者間でそのリスクを譲渡価格など で調整する方法もあります。ほかに株式の譲渡方法を工夫することで解決策を探る場合があります。あるいはM&A契約上にどう従業員の立場を護る契約を固めるという方法論はありますが、そこには契約だけでなく、買い手サイドの経営姿勢を厳しく吟味して、従業員を単なる使い捨て人材ではなく、会社の重要な資産、財産として「人財」を大切に扱う企業風土かどうかも確認する必要があります。
<退職リスク軽減策> こうした退職者リスクを低減させるよい方法はあるのでしょうか。やはり、売り手の社長は、従業員がいたずらに動揺しないように社長自らが動くことが肝要です。ただしこうした手立てを事前に行うことは現実的には難しいのがM&Aの困難な側面です。
M&Aの契約前に従業員対策をすることは秘密保持の観点で実際問題ほとんど何もできないからです。よってM&Aを契約した後で正式に従業員に話をする時、この時の従業員が受ける負の衝撃を少しでも軽減し、むしろこのM&Aが従業員にプラスであるという情報をどう共有するか、そこが現実的な退職リスク低減策になります 。
そのためにも、常日頃から売り手企業の社内での経営陣と従業員間で良好なコミュニケーションがとれるようにしておくことです。社内の風通しがよいと、社長の後継者問題についても賢く、上手に社員と多少の問題意識を共有するような対策も可能です。
<M&A調印後> M&A調印後の説明で重要なポイントはM&A は従業員にとってもいい話だと社長が考えていることを丁寧かつできるだけ具体的に説明することです。例えば大手企業が買い手であれば研究開発部門のキーマンには研究開発費の増額や設備の購入、営業部門のキーマンには手厚い営業支援策の設定、などなど、M&A の後に新しい希望を持たせて「退職するなど損である」と考えさせる流れを作ります。つまり重要なのは従業員にとってもハッピーな話だから決断したという説明ができることがポイントです。

今回はここまで!次回もM&Aコラム応用編【M&Aの疑問にお答えします❗】お楽しみに!