先月に引き続き、M&A情報の総括として経済産業省中小企業庁が発信している、中小M&Aガイドライン(2020年3月31日に中小企業におけるM&Aが円滑に促進するよう策定されました。)をご紹介します。M&A全般の知識と理解を包括的に深めていただくため2021年3月までに5~6回に渡りその内容ご紹介をM&Aコラムで掲載致します。
今回の掲載分(第2回)は、中小M&Aガイドライン「第三者への円滑な事業引継ぎに向けて」からM&A全般の基礎となるポイントを押さえた用語について下記に記します。中小M&Aガイドラインでは27の用語集が説明されていますが、弊社ではその中から厳選した用語をご案内します。中小M&Aガイドライン「第三者への円滑な事業引継ぎに向けて」については「経済産業省中小企業庁 中小M&Aガイドライン」を参照し、ご確認及びご参考にしてください。

経済産業省中小企業庁中小M&Aガイドラインで用いられる主な用語について、27用語から弊社で厳選した用語以下のとおり解説する。

①仲介者/仲介契約
仲介者とは、譲り渡し側・譲り受け側の双方との契約に基づいてマッチング支援等を行う支援機関をいい、一部の M&A 専門業者がこれに該当する(業務範囲は個別の支援機関ごとに異なる。)。
仲介契約とは、仲介者が譲り渡し側・譲り受け側双方との間で結ぶ契約をいい、これに基づく業務を仲介業務という。
(弊社参考資料:M&Aコラム第1回 ステップ②

②FA(フィナンシャル・アドバイザー)/FA 契約   
FA(フィナンシャル・アドバイザー)とは、譲り渡し側又は譲り受け側の一方との契約に基づいてマッチング支援等を行う支援機関をいい、一部の M&A 専門業者がこれに該当する(業務範囲は個別の支援機関ごとに異なる。)。
FA 契約とは、FA が譲り渡し側・譲り受け側の一方との間で結ぶ契約をいい、これに基づく業務を FA 業務という。
(弊社参考資料:M&Aコラム応用編第9回

③ノンネーム・シート(ティーザー)  
ノンネーム・シート(ティーザー)とは、譲り渡し側が特定されないよう企業概要を簡
単に要約した企業情報をいう。譲り受け側に対して関心の有無を打診するために使用される。
(弊社参考資料:M&Aコラム第1回 ステップ③

④秘密保持契約(NDA、CA)  
秘密保持契約とは、秘密保持を確約する趣旨で締結する契約をいう。具体的に
は、譲り受け側が、ノンネーム・シート(ティーザー)を参照して譲り渡し側に関心を抱いた場合に、より詳細な情報を入手するために譲り渡し側との間で締結するケースや、譲り渡し側や譲り受け側が仲介者・FA との間で締結するケース(仲介契約・FA契約の中で秘密保持条項として含められるケースが多い。)がある。
(弊社参考資料:M&Aコラム第1回 ステップ③

⑤企業概要書(IM、IP)    
企業概要書とは、譲り渡し側が、秘密保持契約を締結した後に、譲り受け側に対し
て提示する、譲り渡し側についての具体的な情報(実名や事業・財務に関する一般的な情報)が記載された資料をいう。
(弊社参考資料:M&Aコラム第1回 ステップ④

⑥意向表明書(LOI)と基本合意書(MOU)
中小M&Aガイドラインの中のM&A用語〇意向表明書と〇基本合意書(LOI、MOU)では説明不足で誤解が生じる可能性があるため弊社で改めて説明します。

意向表明書とは、買い手企業が売り手に対し、事業の譲り受け・会社買収の意思を示す書類のことです。意向表明書は、レターオブインテント(Letter of Intent)とも呼ばれます。
M&Aを通じた買収の意思を書面に表すものの、必ず用意・提出するとは限りません。意向表明書内容によっては、法的な拘束力がないとされている。

MOU(基本合意書)とは、Memorandum of Understandingの略で、覚書のことをさしています。MOU(基本合意書)とは、LOI(意向表明書)でM&Aの手法や取引内容などの概要を確認し合ったうえで、取り交わされる書類です。
一般的にMOU(基本合意書)は、最終契約の前に結ばれます。そのため、MOU(基本合意書)には、最終契約の内容が盛り込まれます。

LOI(意向表明書)とMOU(基本合意書)の違いについて、
1つ目の違いは、取り交わす順番で先にLOI(意向表明書)が交わされる。
2つ目の違いは、取り交わす内容です。LOI(意向表明書)では一般的に、M&Aの取引を行う意思のほか、大まかな条件(取引額・譲り受ける資産・M&Aのスキームなど)が盛り込まれます。
3つ目の違いは、合意です。LOI(意向表明書)は、買い手が売り手に提出する書類です。売り手は、交渉先の絞り込みを行うために、LOI(意向表明書)の提出を求めるだけに留まります。
一方、MOU(基本合意書)は、売り手と買い手の両方が合意するための書類です。最終契約に近い内容に両者が合意したことを確かめるために、取り交わされます。
LOI(意向表明書)とMOU(基本合意書)とは、合意の有無に違いが見られました。一般的に合意の必要がない法的拘束力がない書類であることと認識しておきましょう。

ただしLOIは、意向表明書と呼ばれるほかに、基本合意書ともいわれています。なぜ、1つの言葉に2つの呼び方があるのでしょうか。これは、LOIの内容によって、最終契約に近い内容を書いている場合もあるからです。
法的な拘束力を持つ独占交渉権や守秘義務は、最終契約を結ぶために定められています。つまり、意向表明書=LOIに法的な拘束力を持つ事項を加えることで、契約を見据えた交渉を行うのです。これなら、取引の概要を確認し合う段階から、交渉の意思を強められます。
そのため、契約の成立を早期に実現させたい相手が現れた場合には、基本合意書としても扱われるのです。こうしたことから、LOIには意向表明書のほかに、基本合意書の名でも呼ばれています。

LOI(意向表明書)を省略するケースとして、互いの意思が確認でき、基本事項について合意に至っているなら、LOI(意向表明書)を省いて、次の段階に進み、MOU(基本合意書)を結びます。
(弊社参考資料:M&Aコラム第2回 ステップ⑤/ステップ⑥

⑦デュー・ディリジェンス(DD)  
デュー・ディリジェンス(Due Diligence)とは、対象企業である譲り渡し側における各種のリスク等を精査するため、主に譲り受け側がFAや士業等専門家に依頼して実施する調査をいう(「DD」と略することが多い。)。
(弊社参考資料:M&Aコラム第2回 ステップ⑦

⑧クロージング          
クロージングとは、M&A における最終契約の決済のことをいい、株式譲渡、事業譲渡等に係る最終契約を締結した後、株式・財産の譲渡や譲渡代金(譲渡対価)の全部又は一部の支払を行う工程をいう。
(弊社参考資料:M&Aコラム第3回 ステップ⑪

⑨PMI               
PMI(Post-Merger Integration)とは、クロージング後の一定期間内に行う経営統合作業をいう。
(弊社参考資料:M&Aコラム第3回 ステップ⑪

⑩バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)
バリュエーションとは、企業又は事業の価値を定量的に評価することをいう。評価
額は、中小 M&A で譲渡額を決める際の目安の一つとして取り扱われる。評価手法は様々なものがあり、企業の実態や事業の特性等に応じた手法が選択される。
(弊社参考資料:M&Aコラム(応用編)第7回

⑪チェンジ・オブ・コントロール(COC)条項
チェンジ・オブ・コントロール条項とは、ある企業が締結している契約(例えば、賃貸借契約、取引基本契約、フランチャイズ契約等)について、当該企業の株主の異動や支配権の変動等により当該契約の相手方当事者に解除権が発生すること等を定める条項をいう。
(弊社参考資料:M&Aコラム(応用編)第10回

⑫表明保証条項               
表明保証条項とは、契約の一方当事者が、他方当事者に対し一定の時点(一般的 には最終契約締結時・クロージング時の両時点)において、当該契約に関する事項に ついて、当該事項が真実かつ正確であることを表明し、かつその内容を保証する条 項をいう。
(弊社参考資料:M&Aコラム(応用編)第10回

以上、M&Aコラム第20回 【ご案内】中小M&Aガイドライン第2回でした。
 弊社のM&Aコラムやホームページも合わせて参考にしてください。
 次回ガイドラインの内容に触れていく予定です(次回、M&Aコラム第21回 【ご案内】中小M&Aガイドライン第3回 2021年2月更新予定)。


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